Kotlinは、GoogleがAndroidアプリ開発の公式言語として採用したプログラミング言語です。同じくAndroidアプリ開発ができる強力なプログラミング言語にJavaがあり、どちらを使用するべきか悩んでいる方が多いはずです。そこで、本記事では、KotlinとJavaの違いや、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
1.JavaとKotlinの概要
1.1. Kotlinの概要
Kotlinは、Kotlin Foundationを通じてJetBrainsとGoogleによって支援されたオープンソースの言語であり、Java Virtual Machine (JVM) 上で実行するため、ほぼすべてのプラットフォームで動作します。さらに、Javaと完全に互換性を持つように設計され、KotlinプロジェクトではJavaのライブラリとフレームワークを使用することができます。さらに、JavaからKotlinへの切り替えは、1つのプラグインをインストールするだけでシームレスに実行できます。
Javaからインスピレーションを得たKotlinは、よりクリーンでシンプルで高速な改良版を目指しています。オブジェクト指向プログラミング(OOP)と関数型プログラミングの組み合わせを提供します。
1.2. Javaの概要
Javaは、マルチプラットフォーム・ネットワークセントリックのオブジェクト指向プログラミング言語です。1991年にJames Goslingによって開発され、1995年にSun Microsystemsによってリリースされ、現在でも最もよく使用されているプログラミング言語の1つです。Javaを使用すると、デスクトップアプリ、エンタープライズアプリ、クラウドベース・Webベースのアプリなど、さまざまなアプリケーションを作成できます。通常、バックエンドの開発に使用されます。Androidアプリ開発に関して、開発者にとってJavaは主な選択肢です。Android自体もJavaで書かれています。
1.3. なぜJavaとKotlinを比較するのか?
Javaは最も人気があり、一般的に使用されているプログラミング言語の1つで、Kotlinは比較的新しい競争相手です。 後者はまだ前者の役割を代替するには至っていませんが、Android アプリ開発の優れた代替競合相手であることが証明されています。
Kotlin の発売から1年後の2017 年に、Google は KotlinをAndroid 開発の 2 番目の公式言語として認め、I/O 2017 での大きなハイライトとなりました。 これまではAndroid プラットフォームでの開発の公式言語はJavaだけでした。それ以来、Android 開発言語として非常に好まれている Kotlin の人気は着実に高まっています。 2019 年、Kotlinは Googleの「Androidアプリ開発に推奨されるプログラミング言語」として宣言されました。速く成長し、Googleの推奨する言語として位置付けていたため、KotlinはJavaの方が良いか・適するかを知りたいと考えるAndroid開発者が多いかもしれません。
2. JavaとKotlinの主な違い
背景を理解したところで、Kotlin の成長がJava にどのような影響を与えるのか疑問に思うかもしれません。コールバック、データクラス、ゲッター/セッターの作成に適したKotlinは、ライトウェイトでまた簡潔なコードを作成できるため、Twitter、Pinterest、Netflix、Uberなどの大手企業でも採用されています。最近、Androidアプリ開発においてもKotlinへの切り替えが流行っていて、「将来、KotlinがJavaに取って代わる可能性があるのでしょうか?」に関してはさまざまな意見が混在しています。議論の双方を理解するために、まず以下の表を見てみましょう。
2.1. JavaとKotlinの比較表
Kotlin | Java | |
プログラミングコンセプト | Kotlin は、オブジェクト指向プログラミングと関数型プログラミングの両方の機能を組み合わせている。デリゲート、拡張機能、高階関数などの最新のプログラミングコンセプトをサポートする | Java はオブジェクト指向プログラミングに限定されている |
開発元 | JetBrains | Oracle |
使用目的 | サーバーサイドアプリの開発やAndroidアプリ開発などに使用される。 | スタンドアロンアプリとエンタープライズアプリの開発などに使用される |
プラットフォームの互換性 | Kotlinは、BytecodeとJavaScriptだけでなく、ネイティブコードのコンパイルもサポートしている | Javaは、JVMおよびJavaScriptだけのByteCodeにコンパイルする |
コンパイレーション速度 | より遅い | より速い |
コードブレイティ | コードラインを半分に削減する | Kotlinよりも2倍になっている |
簡潔さ | ボイラープレートコードの使用が削減される | ボイラープレートコードの使用がより多い |
拡張機能 | その機能を使用すると、既存クラスで新しい機能を拡張できる | 拡張機能はサポートされない。新しいクラスを作成する必要がある |
変換型 | 暗黙の型変換Kを提供しないため、小さなタイプをより大きなものに変換することはできない | 暗黙の型変換Kを提供しない |
Coroutines | コードを簡略化するための並行実行のデザイン パターンであるCoroutinesを使用すると、複数のスレッドを作成する時、他のスレッドをブロックせずに特定のスレッドの実行を中断できる | Javaのマルチスレッド機能(Rx JavaとProject loon)により、ネットワークI/OやCPU操作などの操作すると、スレッドのブロック可能性があり、コードを複雑にする |
Smart Cast | 不変タイプを識別し、暗黙のキャストを自動的に実行するSmart Castをサポートする | Smart Castをサポートしない |
Data classes | クラス宣言はキーワードデータだけで実行できる | クラス宣言のため多くの要素を構築する。データ保持機能のみのクラスを作成するためGetter・Setterメソッド、コンストラクター、およびその他の機能を定義する必要がある |
データ型仕様 | 変数データ型の仕様を必要としない | データ型を明示的に指定することが必要 |
Null値 | Null値を変数およびオブジェクトに割り当てることはできない | Null値を変数に割り当てることはできるが、オブジェクトにはできない |
Null safety | Kotlinのタイプのシステムには Null safetyが組み込まれている | Null Pointer ExceptionはNull safety機能がない |
Checked Exceptions | exceptionsを完全に削除した。キャッチまたは宣言する必要はない | Javaでchecked exceptionの実行はたくさんの問題のあるプロセス |
Public Fields | なし | Callerを調整せずにオブジェクトの表現を変更できるため便利なPublic Fields機能を提供する |
Wildcard-types | なし | ある |
Lambda Expression | ある | Java 8だけに追加されている |
Lazy-Loading | ある | なし |
Operator Overloading | オペレーターをカスタムできる | 特定のJavaタイプに結び付けられる |
コミュニティサポート | Javaほど大きくない | 非常に大きなコミュニティ |
表1.Java Kotlin の比較表
2.2. なぜJavaを選ぶか
Javaのメリット | Javaのデメリット |
学びやすい 強力な開発ツールより安全 プラットフォーム独立性: すべてのコンピューティングプラットフォームで実行できる再利用可能なコードの作成 自動メモリ管理可能 膨大なコミュニティサポート 詳細なドキュメントの利用可能 熟練した開発者のサポート サードパーティライブラリの利用可能 ライブラリの操作が簡単 | Javaの構文・コードは複雑で冗長 Android API設計にはあまり適していない 潜在的なエラーの数を増やし多くの作業を要求する JITコンパイラでは比較的遅いメモリと処理の要件が高い Ⅾelete、freeなどの関数を提供しないため、ガベージコレクションの制御ができない ポインターなどの低レベルのプログラミングコンストラクトをサポートしない |
表2.なぜJavaを選ぶか
2.3. なぜKotlinを選ぶか
Kotlinのメリット | Kotlinのデメリット |
KotlinはJVMを利用して、OOPsと機能指向のプログラミングの機能を組み合わせる 既存のJavaコードとの互換性・Javaとの相互運用可能 バグが少なく 信頼性が高い アプリ開発のためのリッチAPI組み込みのNull Safetyサポートを提供する Javaよりも簡潔で表現力が豊か lambda expressionsのようなスペシャル言語構造を使用できる 拡張機能のサポート 自動化されたデータクラスの作成プロセス 大きなアプリを小さなレイヤーに分割できる ユーザーフレンドリーで理解しやすい コーディングトリミングコーディングがある 新しいコードを書く時間が短いコスト・時間・労力を削減し、速度・パフォーマンスの向上が可能コードの展開が簡単で、大規模でも維持しやすい | 新しい言語で、開発者コミュニティはまだ小さい 高いメモリの消費checked exceptionsがないコンパイル速度がより遅い |
表3.なぜKotlinを選ぶか
あなたが関心するかもしれません:Oracle 2023 Java Pricing Explodes: What Should I Do Now?
3.Kotlinの将来性ご分析
すべてのプラットフォームでアクセシビリティ・アプリのスケーラビリティになるというKotlinの約束を信じているように、Androidアプリ開発をKotlinに切り替えるエンタープライズリーダー(Twitter、Airbnb、Netflix)が多くなっています。ではKotlinのメリットをより深く掘り下げ、Kotlinの将来性をお話しします。
3.1. 将来的にKotlinを選択すべき 5つの理由
3.1.1. Kotlin は簡潔でシンプルです。
コードの簡潔さはJava の長所の 1 つではありません。 一方、Kotlinははるかに簡潔で読みやすい最高のものを提供します。
Kotlin の簡潔なコードはエラースキャンニング・変更コードの修正・強化のため時間・コスト・労力を削減できます。
3.1.2. バイトコードによる相互運用性。
Kotlinの相互運用性:すべてのライブラリにアクセス・既存の Java コードとシームレスに機能するモジュールを作成することができます。 Kotlin コンパイラーを使用すると、2つの言語を同じプロジェクトで同時に動作させることができます。
3.1.3. Null Safetyと自動化。
Kotlin には、回避策のために追加のコードを記述することが不必要になるよう自動化されているNull Safety機能が組み込まれています。一方、NullPointerExceptionは、よくアプリ開発のすべてのハードワークを簡単に無視にするまでのエラーの原因であります。
つまり、問題解決と作成プロセスの最適化の面で、Kotlin は Java よりも優れていると言えるでしょう。
3.1.4. プロジェクトのタイムラインの短縮
ビジネスにとって、Kotlinのコーディングの簡潔さは大切な資産です。コードの開発、コードの変更、コードのレビュー、バグ修正などにかかる時間を節約できます。
これにより、プロジェクトのスケジュールとコストの両方を削減でき、大きな競争力を得ることができます。
3.1.5. 製品の品質・サポート
Java のコーディングでは、エラーの存在はエラーだけを意味しません。アプリのクラッシュなどのひどい結果につながっています。また、エラーを特定しコードを調べるのに多大な時間を費やすことも意味します。 コードが大きければ大きいほど、時間・労力がかかります。
また、開発プロセス中に、より優れた制御感と明確性を得ることができるためのアプリインターフェイスをはるかに簡潔にすることができます。
Kotlin を使用すると、バグやクラッシュの修正が容易になります長期サポートが提供されます。
3.2. Kotlinの将来性ご分析:Kotlin は未来のソリューションとなるでしょうか?
Androidアプリ開発において、Kotlinは優れた言語であると言えますが、Kotlin対Javaの論争は2つの面で表されます。まず、現在の状況について話しましょう。
Kotlinは比較的新しい言語であるため、情報の不足が存在します。これらのショットは、多くの場合、開発者にとって問題解決の障害になる可能性があります。そのため、Javaでは解決できる特定の問題をKotlinを使用して解決する方法がわからない開発者にとっては、問題になる可能性があります。
次に、未来について話しましょう。Kotlinはそのワークロードの軽減や優れた機能を備えており、開発者にとって未来の選択となる可能性があります。Kotlinの発表から、毎年使用されるコード行がほぼ2倍に増加しており、2016年の210万行から現在の2023年には1,500万行を超えるKotlinのコミュニティが形成されています。これはKotlinの人気の高まりを示しています。
このような状況から、長期的にはKotlinがJavaに取って代わることが必然的と言えます。
4.まとめ
したがって、JavaからKotlinへの切り替えには注意が必要です。クラスの削除などのリスクがあり、製品アーキテクチャに影響を及ぼす可能性があるため、企業はすぐに切り替えを選択しない場合でも、切り替えの準備を始める必要があります。最も競争力を高めるためには、ビジネスにおいて切り替えが必要不可欠になる可能性があるからです。
切り替えの前に、開発者チームは市場の傾向やKotlinの成長などを分析し、この切り替えの準備ができているかどうかを確認する必要があります。それによって、情報に基づいたより適切な意思決定を行うことができます。
Miichisoftは、java kotlin などを使用して、Androidアプリを開発することに強みを持つベトナムのテクノロジー会社です。日本のお客様向けのクロスプラットフォームでの開発を数多くサポートしてきました。私たちは100万回以上のダウンロードと使用実績を誇るモバイルアプリプロジェクトを始め、計150以上のプロジェクトを開発してきました。Androidアプリなどの開発に興味がある方は、ぜひご連絡ください。